「弁護士に相談したら、実際に何が起きるのか」
費用の次に気になるのが、このことではないでしょうか。何を準備すればいいか、どんな流れで進むか、どのくらいの手間がかかるか。私自身が当時最も知りたかった情報を、実体験として書きます。
私は従業員十数人・負債数千万円規模の中小企業を廃業し、法人破産と経営者保証ガイドラインの両方を経験しました。弁護士との手続きは破産申立から清算完了まで1年以上続きました。その全期間を通じた、弁護士とのやり取りの記録です。
なお、この記事は当ブログのnoteシリーズ「会社の破産日記」第2話の補足記事として書いています。体験談の詳細はnoteをご覧ください。
弁護士に辿り着くまでの経緯
私が弁護士につながったのは、信用金庫の担当者に現状を正直に打ち明けたことがきっかけでした。担当者が中小企業活性化協議会を紹介してくれました。
中小企業活性化協議会とは、経営が苦しくなった中小企業を支援する公的機関です。ここで初めて経営者保証ガイドラインという制度の概要を知りました。その後、協議会が金融機関に弁護士を紹介し、金融機関が私にその弁護士を紹介してくれるという流れでつながりました。
取引銀行や信用金庫の担当者に正直に相談することが、専門家への近道になる場合があります。「銀行に知られたら終わり」という思い込みが、動き出しを遅らせることがあります。私もそうでした。
初回面談の流れと確認されたこと
電話で連絡すると、最初に出たのは事務員の方でした。既に金融機関から相談を受けていて、私からも連絡があることは伝えられていたので、状況はわかっているようでした。なので、この時は初回面談の日時のみ設定しました。弁護士本人ではなく事務員が対応してくれたことで、少し緊張がほぐれました。
初回面談では、以下の内容を確認されました。
- 直近3期分の決算書(BS・PL含む)
- 会社の負債の内容と総額
- 個人の資産・負債の状況
- 家族構成と相続関係
弁護士は資料を一つひとつ確認しながら、丁寧にゆっくりと話を進めてくれました。この段階で、以下の3つの選択肢について費用と内容を説明してもらいました。
- 法人破産:会社の破産手続き
- 自己破産:個人の破産手続き
- 経営者保証ガイドライン:個人の連帯保証のみを整理する手続き
特に経営者保証ガイドラインと自己破産の違いについて、弁護士が丁寧に説明してくれた時に初めて腹落ちしました。活性化協議会で概要は知っていましたが、信用情報への影響の違いや手続きの進め方の違いは、弁護士の説明で初めて整理できました。
どの手続きが自分に合うか確認したい方へ弁護士への相談は無料です。選択肢を知るだけでも、動ける範囲が変わります。
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実際に準備した書類
ここがこの記事の核心です。
法人、個人と合わせると、書類の量はかなり多くなります。弁護士事務所から指示を受けながら複数回に分けて提出しました。
会社関係
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 直近3期分の決算書 | BS・PL含む |
| 履歴事項全部証明書 | 会社の登記。法務局で取得 |
| 不動産の全部事項証明書 | 会社所有の不動産すべて |
| 固定資産税・納付書 | 最新のもの |
| 借入金の詳細一覧 | 金融機関ごとに整理 |
| 債権者一覧表 | 弁護士事務所のフォーマットあり |
| 各銀行口座の残高・通帳 | 使っていない口座も全て |
| 保険証券 | 火災保険・各種保険 |
| リース契約書類 | 各リース会社分すべて |
| 社用車の車検証・売買契約書 | 台数分すべて |
| 産業廃棄物関連書類 | 保管届・処理領収書 |
| 廃棄機械の支払明細 | 処分した設備の記録 |
| 確定申告書 | 直近のもの |
| 償却資産の申告書 | 最新年度分 |
個人関係
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 個人財産目録・資産目録 | 弁護士事務所のフォーマットあり |
| 陳述書 | 手続きの経緯を説明するもの |
| 表明保証書 | 申告内容の正確性を保証するもの |
| 相続関係説明図 | 親が亡くなっている場合は必要 |
| 遺産分割協議書 | 相続関係の整理に必要 |
| 個人の銀行口座明細 | 使っていない口座も含め全て |
| 毎月の家計表 | 継続して毎月提出 |
| 火災保険証券・払戻金 | 個人名義のもの |
注意点:使っていない銀行口座は今すぐ解約を
以前の居住地や学生時代に作ったまま放置している口座がある場合、その口座の状況も全て説明する必要があります。近隣に支店がない銀行の場合、電話・郵送での対応になり、予想以上の手間がかかります。今使っていない口座は、できるだけ早く解約しておくことをおすすめします。
書類提出は複数回に分かれる|連絡頻度のリアル
書類は一度に揃えるものではありませんでした。弁護士と事務員の両方から電話・メール両方で連絡が来ながら、段階的に提出していきます。書類の量が多いため、1日に数回連絡が来ることもありました。
日中は仕事があるため対応できません。仕事が終わって帰宅すると「この書類に不備があります」「追加でこちらが必要です」というメールが届いており、深夜まで対応する日が何度もありました。
破産手続きを行う裁判所は、法人の登記住所を管轄する裁判所です。
弁護士事務所が登記住所から遠い場合、債権者集会のたびに交通費・日当が実務費用として発生します。私の場合、債権者集会が4回ありました。弁護士を選ぶ際に事務所の場所を確認しておくことをおすすめします。
手続き中に守らなければならなかったこと
弁護士から明確に言われたルールがあります。
「資産を動かさないでください。」
会社の備品・車両・預金は、弁護士の指示なしに売却・処分してはいけません。私は相談前に社用車の一部を売却してしまい、後から指摘を受けました。結果的には大きな問題にはなりませんでしたが、あの時は焦りました。
善意の行動であっても、手続き上の問題になり得ます。動く前に必ず弁護士に確認する。 これだけは守ってください。
社用車の具体的な処理方法については、こちらの記事にまとめています。
弁護士なしでは不可能だった
今振り返って断言できます。弁護士なしでこの手続きを進めることは不可能でした。
何から手をつければいいかわからない。必要な書類がわからない。全ての債権者と個別に交渉する方法もわからない。経営者保証ガイドラインという制度も、活性化協議会で概要を知っていましたが、自分のケースで使えるかどうかの判断は弁護士なしにはできませんでした。
加えて、手続きの最中は就職して仕事もしていました。仕事をしながら全ての債権者との交渉を自力でこなすことは、現実的に不可能です。
弁護士を選ぶ時に大事なこと
感情的になりやすい状況だからこそ、弁護士に求めるべきは「励まし」ではないと思います。
選ぶ時に見るべきポイント
- 現状を冷静に分析して選択肢を明示してくれるか
- 不安に感じていることを専門家の視点から説明してくれるか
- 法人破産・経営者保証ガイドラインの両方に対応しているか
- 分割払いに対応しているか(初回相談時に確認)
- 事務所の場所と登記住所の距離(実務費用に影響)
「この人は感情に流されず、正確に状況を見てくれている」と感じられるかどうかが、長い手続きを共に歩む上で最も大切なことでした。
まとめ
- 弁護士への最初の連絡は電話でOK。事務員が対応してくれる
- 初回面談では3期分の決算書・個人資産・負債状況を確認される
- 準備する書類は会社・個人合わせて64点以上になる
- 提出は複数回に分かれ、深夜対応が必要な時期もある
- 資産は弁護士の指示なしに動かしてはいけない
- 弁護士は早ければ早いほど選択肢が広がる
弁護士に相談することは、破産を決めることではありません。「自分にどんな選択肢があるか」を知るための第一歩です。相談は無料です。
今あなたがこの記事を読んでいるなら、まだ間に合う段階にいると思います。
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私の体験の詳細はnoteに書いています。
信金への相談から破産完了まで、全話無料で読めます。



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