「赤字だけど、今月の支払いはなんとかなった」
そう思いながら、何ヶ月も過ごしていませんか。
私もそうでした。毎月末になると銀行残高を確認して、「よかった、今月も乗り越えた」と胸をなでおろす。でも翌月もまた同じことの繰り返し。
あのとき、「払えているうちに」弁護士に相談していれば——。今になって、そう思います。
この記事では、赤字でもまだ支払えている状態のときこそ、弁護士に相談すべき理由をお伝えします。
コロナ禍の設備投資が、会社の命運を変えた
私の会社は、コロナ前まではそれなりに安定していました。
コロナ禍になる前の2019年、大きな設備投資に踏み切りました。金融機関からの融資もあり、当時は「これで生き残れる」と信じていました。
ところが、思ったほど業績は回復しませんでした。設備投資の返済が重くのしかかり、毎月の資金繰りがギリギリになっていきました。
それでも「まだ払えている」という事実が、私を楽観させていました。
「今月も乗り越えた。来月もきっとなんとかなる。弁護士に相談するのは、本当に払えなくなってからでいい」
その考えが、結果的に選択肢を大きく狭めることになりました。
「払えている」と「健全」は、まったく別の話です
多くの経営者が混同しがちなことがあります。それは、「今月の支払いができている」ことと、「会社が健全な状態にある」ことは、まったく別の話だということです。
たとえば、こんな状態に心当たりはないでしょうか。
- 売上はあるのに、手元にお金が残らない
- 毎月末に資金繰りで頭を悩ませている
- 借入の返済を、新たな借入で賄っている
- 数日、数週間資金繰りが厳しい時、一時的に社長が個人で立て替えている
- 漠然と、今後良くなるはずと思っている(改善の具体的なプラン、実行が弱い)
これらは、「まだ払えている」状態です。しかし経営の実態としては、すでに深刻な危機に入っています。
この「払えているが危ない」ゾーンにいるときこそ、専門家に相談するタイミングです。
弁護士への相談は「敗北宣言」ではありません
「弁護士に相談する=会社を終わらせる」
そう思っていませんか。私もそう思っていました。だから、ギリギリまで相談できませんでした。
でも実際に相談してわかったのは、弁護士は「会社を畳む専門家」ではなく、「経営者の選択肢を整理する専門家」だということです。
弁護士に相談することで見えてくるものがあります。
- 今の状態であれば、民事再生(会社を続けながら再建する)の可能性があるか
- 私的整理(裁判所を通さず、債権者と交渉する)で解決できるか
- 廃業するとしたら、経営者個人の保証債務をどう処理できるか
- 税金・社会保険の滞納は、どこまで交渉の余地があるか
払えているうちは、これらの選択肢がすべて開いています。払えなくなってからでは、選べる手が限られてきます。

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「払えなくなってから」では、選択肢が減る理由
支払いが止まると、状況は一気に変わります。
取引先・仕入先との関係が悪化します。支払いが遅れた瞬間から、信用は崩れ始めます。取引を止められたり、現金払いを求められたりすることもあります。
従業員への給与が払えなくなります。給与の未払いは、経営者個人に対する法的責任にもつながります。
金融機関との交渉力が落ちます。まだ返済できているうちは、条件変更(リスケ)や猶予の交渉ができます。しかし滞納が始まると、交渉のテーブルに着いてもらいにくくなります。
財産が差し押さえられるリスクが出ます。税金・社会保険の滞納が続くと、預金口座や事業用資産が差し押さえられることがあります。そうなると、日常の事業活動すらままならなくなります。
支払いが止まってからでも弁護士は動いてくれます。ただし、できることの幅は確実に狭まっています。
弁護士に相談する「タイミング」の目安
では、具体的にどんなサインが出たら相談すべきでしょうか。私が実体験から感じる目安をお伝えします。
資金繰りが「毎月ギリギリ」になってきた
一時的なものではなく、毎月末に「今月も乗り越えられるか」という状態が3ヶ月以上続いているなら、構造的な問題が起きています。
借入で借入を返している
新しい融資や、カードローン・ビジネスローンなどで既存の返済を賄うようになったら、すでに危険水域です。
「来月こそ改善するはず」と根拠なく思っている
具体的な改善策がないまま「なんとかなるだろう」と思い続けているなら、それは状況の深刻さを認識できていないサインかもしれません。
これらのサインが1つでも当てはまるなら、今すぐ弁護士に相談することをお勧めします。初回相談が無料の事務所も多いので、まず話を聞いてもらうだけでも構いません。
私が今、かつての自分に伝えたいこと
あのとき、「払えているうちに」動いていれば——。
私は今も、そう思います。
払えているうちに動けば、従業員に給与をきちんと払って終わることができました。取引先への未払いを出さずに済みました。自分自身の個人保証の処理も、もう少しうまくできたかもしれません。
経営者は「まだ大丈夫」と思いたい生き物です。それは弱さではなく、責任感の裏返しです。でも、その「まだ大丈夫」が、後になってからの選択肢を消していきます。
弁護士への相談は、諦めることではありません。より多くの選択肢を持つための行動です。
「払えているが、不安がある」という今のうちに、一度話を聞いてもらってください。

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【この記事を書いた人】
元・中小企業経営者(従業員十数名)。 経営悪化と人手不足により会社を廃業。
法人破産・経営者保証ガイドラインを経て 現在はサラリーマンとして再出発。
「自分と同じ規模の社長の体験談が見つからなかった」 という経験から、このブログを書いています。
より詳しい体験談はnoteでも書いています。

小さな会社を破産させると決めたときの具体的な流れはこちらに書いています。

本記事は、筆者の実体験をもとにした情報提供を目的としています。個別の法的判断については、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。

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