はじめに:倒産経験者が、最初につまずく場所
転職活動を始めたとき、私が最初に手が止まったのが職務経歴書でした。
「会社を倒産させた事実を、どう書けばいいのか」
「破産って、正直に書いたら一発で落とされるんじゃないか」
そう悩む方は多いはずです。私もそうでした。結論から言うと、書き方しだいで、倒産経験は”マイナス”にも”独自の強み”にもなります。
この記事では、私が実際に転職エージェントと一緒に作り上げた職務経歴書をもとに、倒産経験をマイナスにしない5つの工夫を公開します。
工夫①:退職理由に「破産」と書かない
これが一番大事です。私は退職理由に「破産」「倒産」という言葉をあえて使いませんでした。
代わりに使ったのは、こういう表現です。
「深刻な人手不足により、会社を解散することにしたため、これまでの経験を活かせる職種を中心に転職活動中」
ポイントは、嘘をつかず、事実を中立・前向きに表現すること。「破産」と書くと相手は身構えますが、「人手不足による解散」なら、事実でありながら、ぐっと印象が柔らかくなります。
※もちろん、面接の最終段階では破産の事実もきちんと伝えました。書類で全部さらけ出す必要はなく、段階に応じて伝えるのが現実的です。
工夫②:職務要約で「横断的な経験」を強みに変える
経営者の強みは、一つの業務だけでなく、事業全体を見てきたことです。私は職務要約で、それを前面に出しました。
「仕入れから製造、販売、営業まで一連の業務を担当。役職就任後は、経営改革や新規事業(直営店舗)の立ち上げにも携わった」
倒産の事実から書き始めるのではなく、まず”何をやってきた人か”を見せる。 経営者は、普通の社員が経験できない範囲を見てきています。それは立派な武器です。
工夫③:「活かせる経験・スキル」を箇条書きで見せる
採用担当は、職務経歴書を隅々まで読みません。だから冒頭に、持ち運べるスキルを箇条書きで並べました。
- 仕入れから販売まで一連の業務に携わった経験
- 製造工程の見直し・効率化、新規事業の立ち上げ経験
- 現場・店舗のチームマネジメント
- SNSやWebを使ったマーケティング
- 設備・機械のトラブル対応・問題解決
実務スキルは職種が変われば活きにくいですが、「マネジメント」「問題解決」「全体を見る力」は、どの会社でも通用する。ここを目立たせるのがコツです。
工夫④:実績は、必ず「数字」で書く
「頑張りました」では伝わりません。数字に置き換えると、説得力が一気に増します。私が書いた実績の例です。
- 製造工程を見直し、燃料コストを約3割削減
- 製造にかかる人員を約半分に効率化
- 経営悪化時、工程見直しと価格交渉で翌年に黒字転換
- SNS・Web集客に注力し、フォロワーを大きく伸ばし、地域で高い評価を獲得
倒産はしましたが、その過程でやり遂げた改善は、紛れもない成果です。堂々と数字で示しましょう。
工夫⑤:自己PRは「雇う側・雇われる側の両方を経験した」独自性で締める
最後の自己PRで、私は経営者ならではの視点を打ち出しました。
「雇用する側・される側の両方を経験し、それぞれの立場のリスクや、どうすれば全員が同じ方向を向けるかを考え実践してきた。その経験を、より大きな組織で活かしたい」
これは、普通の転職者には書けない一文です。倒産という経験があるからこそ言える言葉を、最後に置く。これが効きました。
プロに添削してもらって、こう変わった
正直に書くと、この職務経歴書は自分一人では作れませんでした。
最初に自分で書いた原稿は、つい倒産の経緯を長々と説明してしまい、暗い印象になっていました。それを転職エージェントの担当者が、
- 退職理由を「破産」→「人手不足による解散」へ
- 実績を曖昧な文章→数字へ
- 経歴の羅列→「活かせるスキル」を先頭に
と、採用担当に響く形に整えてくれたのです。倒産経験という”クセのある経歴”を、客観的にどう見せるか。これは自分では絶対に気づけませんでした。
まとめ:倒産は、書き方しだいで武器になる
職務経歴書で大切なのは、倒産を隠すことでも、卑下することでもありません。事実を前向きに表現し、そこでやり遂げた成果と、経営者だからこそ得た視点を、堂々と見せることです。
会社をたたんだ経験は、決してマイナスだけではありません。書き方しだいで、あなたにしかない説得力になります。一人で抱え込まず、客観的なプロの目も借りながら、自信を持って次の一歩を踏み出してください。
【この記事を書いた人】 元・中小企業経営者(従業員十数名)。経営悪化と人手不足により会社を廃業。法人破産・経営者保証ガイドラインを経て、現在はサラリーマンとして再出発。「自分と同じ規模の社長の体験談が見つからなかった」という経験から、このブログを書いています。
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