第4回 会社破産後の社長のやること

破産準備

会社の破産手続きを弁護士に依頼した後、社長にはもうひとつ、大事な選択が待っています。

それは、会社の借金(債務)を連帯保証していた“個人”としてどう対応するかということです。

会社の借金は、社長個人に請求がいく

中小企業では、会社が借りたお金に対して、社長や親族が連帯保証人になっていることがほとんどです。

会社が破産すれば、その借金は保証人である社長個人へと移ります
この時点で、次の3つのパターンがあります:

自力で返済できる場合 → 任意整理へ

借金の額が少なく、支払いができるのであれば、「任意整理」として分割返済などの対応が可能です。
ただし、現実的には返済できないケースが多いのが実情です。

返済できない場合 → 自己破産 or 経営者保証ガイドライン

借金が大きく返済できない場合は、以下のいずれかを選択することになります:

自己破産

  • すべての借入分(会社の借入分や個人のカードローンなど)が免除される(=ゼロになる)
  • ただし、99万円を超える現金や資産(車・不動産・株など)は処分される
  • クレジットカードが使えなくなり、信用情報に“事故情報”が載る(ブラックリスト)
  • 賃貸契約やローンにも制限が出る
  • 就ける仕事に制限ができる

経営者保証ガイドライン(会社の借金のみ対象)

  • 会社の借入分(連帯保証部分)だけを整理する制度
  • 個人の住宅ローンやクレジット借入などは対象外
  • 財産制限は基本的に自己破産と同様(ただし5年以上経過した車は残せる場合が多い)
  • クレジットカードもそのまま使え、信用情報にも影響しない可能性が高い
  • 自宅も残せる可能性がある(金融機関と相談)

どちらを選ぶべきか?

会社の債務が借金のほとんどで、個人のローンが少ない人は「経営者保証ガイドライン」を選んだ方が良いと思います。私はこの経営者保証ガイドラインを使用しました。

この制度には法的な強制力はありませんが、金融庁が後押ししており、多くの金融機関が応じています。
ただし、

📌 自己破産に比べて、この制度を熟知している弁護士はまだ少ないのが現実です。

弁護士費用の目安

  • 自己破産・経営者保証ガイドラインともに、弁護士費用はおおよそ60万円〜
  • 財産や借金の規模、管財人が必要かどうかで費用は上下します

🗓 依頼のタイミングは「会社破産と同時」がベスト

実際に個人側の手続きを始めるのは、会社の破産申立て後になります。
ですが、同時に弁護士へ相談・契約をしておくと、個人の手続きにスムーズに移行できます。

まとめ

会社の破産で終わりではなく、社長個人としての対応が「次のステップ」として待っています。

正しく終わらせることで、正しく始められる
私はそう実感しました。

次回
第5回 経営者保証ガイドラインを選んでよかったと思った3つの理由

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