第1回 会社をたたむと決断した日

決断まで

うちは従業員十数名の、小さな会社でした。
創業者は私の祖父で、私で三代目になります。

私が跡を継いだのは、今から5年前のことです。

そのときにはすでに、会社には1億円の借金がありました。

その頃はコロナ禍で元金を返すことが難しくなり、金融機関と交渉の末、元金据置で利息だけ払っている…

──そんな状態でした。

この状況を打開するため、あらゆる施策をうっていましたが、売上が落ち、でも原材料費は上がりつづけ、極めつけは従業員の離職が相次いだことで事業継続が困難になりました。

そしてとうとう、事業をたたむことを考え始めました。

私が最初に考えた「出口戦略」

会社名義の不動産に担保が付いていたので、それを売却して借金と相殺し、残った数百万円の負債は、サラリーマンとして働きながら返していこうと考えました。

そのため、抵当権を持っている金融機関にも相談し、「一番いいように着地できるよう動いてみます」と紹介されたのが政府系の中小企業活性化協議会でした。

専門家との出会い

その協議会から、企業再生に詳しい弁護士を紹介してもらいました。
最初は正直、「弁護士に相談=もう終わりか」と思っていました。

でも、そこで聞いた話が大きな転機になりました。

「会社は破産させた方がいいと思います」

それまで「破産」までは考えていませんでした。

しかし、担保に入っている不動産を売却するにも当然買い手がいないと始まらず、売れなければずっと固定資産税も払っていかなければなりません。

それに、負債と相殺できるほどの金額で売却できる保証もないことから、「破産」をリアルに考えはじめました。

そして、次に弁護士から提案された

「あなた自身は“経営者保証ガイドライン”という制度を使ったほうが良いかもしれません」

それが、“ただ終わる”のではなく、“きれいに、次につなげて終わる”方法があると知った最初の瞬間でした。

私はまだ、すべての手続きを終えたわけではありません。
でも、もしあなたが今、

  • 借金に追われ、誰にも言えずにいる
  • 会社をたたむ決断ができない
  • 社員や家族に申し訳ない気持ちでいっぱい

そんな思いを抱えているなら、この記事が「次の一歩」のきっかけになればと思って書いています。

次回は、弁護士に具体的にどんなことを聞かれたか、
そしてどんな選択肢があったのかを書こうと思います。

次回
第2回  破産、経営者保証ガイドラインって?

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